二十四節気の花あしらい

旬の花を最後の一輪まで楽しみつくしませんか?
気軽に季節を感じる「花あしらい」のテクニックをご紹介。

第五十九話 春分の花あしらい「リューココリーネ」

2026.03.20

life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを、第一園芸のデザイナー・志村紀子がご紹介します。


2026年3月20日から二十四節気は春分に

春分は秋分と同じく、昼と夜の長さがほぼ等しくなる日で、この日を境に夏至に向かって昼が長くなっていきます。

暦の上でも実際の季節でも、春の気配に満ちるこの時季にぴったりなのが「リューココリーネ」。
香りのよい繊細な花と、すらりと伸びる茎が、やわらかな春の景色によく似合います。
今回は、そんな春の花・リューココリーネを使った花あしらいをご紹介します。

伸びやかな線を楽しむ

リューココリーネは、すっと伸びた茎が魅力のひとつです。
花が咲く時季には葉が出ない「根出葉(こんしゅつよう)」という特徴があり、花屋に並ぶ頃には葉がありません。
しかし、葉がなくても、ほっそりとした美しい茎も鑑賞の対象です。

そこで、花へとつながる自然な曲線を活かし、数本の束を左右に分けて飾りました。
シンメトリーのドラマティックさと、自然の中にあるような雰囲気の両方を楽しめる花あしらいです。

束にして線を強調する方法の他にも、1本ずつの線を活かす方法もあります。
ここでは、白いリューココリーネをさまざまな方向へ向けて生けました。
交差する線の先で、花がふわりと浮かび上がるように見え、軽やかな印象が生まれます。

繊細な花をあしらう場合は、花器の色を抑えたシンプルなものを選ぶと、花の印象を損なわず、一体感が生まれます。

一輪の魅力

リューココリーネは1本でも存在感が抜群です。
そこで、雰囲気の異なる花と組み合わせて、お互いの魅力が引き立つ花あしらいを考えてみました。

金色の器に淡いピンクのアジサイを生け、中心にリューココリーネを添えました。
金、ピンク、白の淡いトーンが調和した、上品で可愛らしい印象の花あしらいです。

花を留めているのは、金色のソフトワイヤーを丸めたもの。少し見えるようにしても素敵なアクセントになります。

今度はシルバーのクラシックなグラスに、スイートピーと雪柳、そして、短めに切ったリューココリーネを添えました。
かたまりと線を活かした春の花々に、リューココリーネの花がアクセントになった花あしらいです。

春の花をあつめて

リューココリーネと同じ時季に出回るチューリップを組み合わせました。
小さな一輪挿しに1、2本ずつ花を入れ、ケーキ台の上に並べています。

花を足したり引いたり、置く位置を変えたりするだけで、雰囲気が変わる簡単で楽しい花あしらいです。

花を見極めるコツ

リューココリーネは繊細な見た目に反して、花が長持ちする植物です。
花が終わりに近づくと、花弁が薄くなったり、斑点が出たりします(写真左)。
こうした花が出てきたら、傷んだ花だけをハサミでカットしましょう。
そうすることで蕾の開花につながり、長く花を楽しむことができます。

「リューココリーネ」の基本情報

□出回り時期:1月~5月
□香り:あり
□学名:Leucocoryne
□分類:ヒガンバナ科 リューココリーネ属
□別名:リューココリネ、レウココリネ、レウココリーネ
□英名:Glory-of-the-Sun
□原産地:アンデス山脈
□花ことば:「温かい心」「信じる心」


花毎でご紹介しているリューココリーネのお話
・週末の一輪  vol.25 リューココリーネ ── 春のよろこび

志村紀子

東京生まれ。国内を代表するホテル、外資系大手ラグジュアリーホテルのウェディングやパーティー装花に携わり、帝国ホテルプラザ店で活躍。
現在は第一園芸を代表するデザイナーとして、Noriko Shimuraブランドを展開。他にも社内スタッフ教育部門の講師、対外的なワークショップ講師、各種商品提案、空間装飾のデザインなどを担当している。

・第一園芸オンラインショップ「Noriko Shimura」
・夢の花屋 第四十五話 《マリー・アントワネット》に見立てる
・夢の花屋 第四十二話 《フラメンコ》に見立てる

Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子