花の旅人

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〈北海道ガーデン街道 vol.3 初夏編〉第三話 丘の上で絵画のような世界に浸る「十勝ヒルズ」

2019.07.25

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紫竹ガーデンから車で30分、この日3つめのガーデン「十勝ヒルズ」へ。
「花を探して」の中で十勝ヒルズは三度目の訪問。いつものようにガーデナーの高田さんが出迎えてくださいました。
事前に伺っていたことですが、こちらのガーデンも紫竹ガーデン同様に2019年はバラにとって厳しい春を迎えました。
例年であれば秋に養生して雪の中で春を待つことで、春には美しい花を咲かせるはずが、この冬は雪が少なく、バラが雪に守られないまま、厳しい十勝の冷気で痛んでしまい多くの苗にダメージが出てしまったのです。

初めて訪問した時に撮影した「レディ・エマ・ハミルトン」。フルーツの香りが魅力的なバラです。またきっと来年出会えるはず。

高田さんはしみじみと「十勝でバラを育てることの難しさを痛感しました」と。
それでもいくつか残った株にはつぼみが付き、バラが本来力強い花であることを静かに伝えてくれていました。

「キングサリ(金鎖)」別名キバナフジとも呼ばれる、マメ科の花木。青々としたガーデンの中で鮮やかな黄色い花が一際目立っていました。

大きな西洋ヤナギと睡蓮が織りなす光景はまるでモネが描いた景色のよう。

雨、季節の変わり目…… いままでの観光であれば決して良いとはいえない日でしたが、日々この場で植物を見続けているガーデナーさんから話を伺うことで、見えている景色が一変。
雨の日にしか見ることのできない、庭の景色は美しく、貴重な経験なのだと。この文章を書いたあと、ヘッドガーデナーの高田玲子さんからうれしいメールが届きました。
十勝ヒルズでは秋バラと呼んでいるバラの二番花が無事に咲きそう、と。

この時季はハーブが花盛り。カモミール、チャイブ……食べて良し、見て良し。

植物が雨水をごくごくと飲み、雨に洗われた葉がつややかに輝く―
この一瞬にしか見ることができない光景がここにはあります。


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北のオアシス 旬・花・祝・豆 十勝ヒルズ

北海道中川郡幕別町字日新13番地5
http://www.tokachi-hills.jp
開園期間:4月下旬~10月中旬
冬季休業期間があります。営業時間、入館料などの詳細につきましては十勝ヒルズのWEBサイトをご覧ください。