二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第五十六話 小満の花絵「複色のバラ」

2020.05.20

life


2020年5月20日から二十四節気は「小満」に

草木が育ち、天地に満ち始めるという意味を持つ節気です。
農家では田植えの季節が始まり、一方バラは見ごろのピークを迎えています。

今回、水上さんが絵のモチーフに選んだのは「複色のバラ」
水上さんによると、今回の作品は何か具体的な品種のバラということではなく、イギリスのガーデン、紅茶の匂い、芝生、西洋の児童文学……そういったものをイメージして描かれたとのこと。

複色のバラとは

花屋としての説明を加えますと、複色(ふくしょく)とは、二色以上の色が入る花に使われる言葉で、今回の作品はまさに複色のバラといえます。

なぜこうした花が生まれたのかといえば、花には突然変異で咲き方や色が変わったものが出ることがあり、古来より人はこうした花に美を感じ、わずかに咲いた花を人工的に交配しながら新たな花を生み出してきたからといえるでしょう。
そのひとつの例が今回描かれた複色のバラです。

あえてこの作品のイメージに近しいバラを選ぶとすれば「ジュビレ デュ プリンス ドゥ モナコ」ではないでしょうか。
前モナコ公国元首レーニエ3世の在位50周年を記念して捧げられたバラです。
ちなみにピンクの縁取りが美しいバラに「プリンセス ドゥ モナコ」があり、こちらはグレーズ公妃(グレース・ケリー)に捧げられた、やはり複色のバラです。


花毎の花言葉・複色のバラ〈一期一会〉

特に複色のバラは色のバランスが花びらごとに異なり、ひとつとして同じ花はありません。
複色のバラの花言葉を〈一期一会〉としたのはまさにそうした理由から。
二度と同じ色柄には出会えない──
いまこの一輪を慈しむ、そんな想いを込めました。

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など