旬花百科

日本一の花市場、大田市場に集まる旬の花や最新品種をご紹介。
知っていると花選びが楽しくなるお話。

第二十一話 「静岡のバラ2021」

2021.11.22

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ラロック

個性あふれるバラの名産地

今年も静岡から個性的なバラの数々が大田花きにやってきました。
希少な品種や、歴代の名花など魅力あふれる品種をご紹介します。

ラロック

□咲き方:変わり咲き
□色:アプリコット複色
□香り:微香
今回最も個性が光る品種。
中心にグリーンアイとも呼ばれる、緑色の「しべ」がのぞき、花びら全体にフリルが入る、一見バラには見えない独特の花形。徐々にアプリコット色からイエローグリーンに変化していきます。花持ちがよく長く楽しめるのも特徴です。

 

ミルキーパール

□咲き方:カップ咲き
□色:シルバー~淡紫
□香り:ブルー 強香
淡い紫の花弁が外側にいくにつれ、シルバーがかった花弁になる、とてもミステリアスな雰囲気のバラ。ブルーローズに多くある、甘くさわやかなブルー系の強い香りも魅力。

 

テナチュール

□咲き方:ロゼット咲き
□色:スモークブロンズ
□香り:微香
テナチュールとはフランス語で「ストレートの紅茶」の意味。
スモークブロンズとも呼ばれる、茶色にも紫にも見える、曖昧な色が魅力的な花です。ロゼット咲きで花弁が厚く、とても花もちのよい品種。

 

ジュリア

□咲き方:波状弁咲き
□色:茶
□香り:ティー 微香~中香
茶系のバラの代名詞的な存在のバラ。1980年代に登場して以来、シックでエレガントな茶色のバラとして大人気に。
花の色は季節によって、ミルクティーを思わせる色やキャラメルのような色などに変化するのが魅力。ティー系の香りもあります。

 

ブルゴーニュ

□咲き方:カップ咲き
□色:白
□香り:ティー 中香
ブライダルで人気の白バラ。オールドローズを思わせる、丸い花弁が特徴。
このバラとは咲き方が異なる、剣弁高芯咲きの「ティネケ」という白バラの枝変わり*で誕生。

*突然変異によって枝や葉が他の部分と違う性質で現れたもの。新品種となる可能性を秘めている場合がある。

アマダ(左側より)
□咲き方:半剣弁高芯咲き
□色:濃赤
□香り:微香
スペイン語で「愛する」「最愛」の名前が付けられた、人気の巨大輪赤バラ。マットな濃赤の花弁で、花もちのよい品種。

タマンゴ
□咲き方:丸弁咲き
□色:濃赤
□香り:微香
スプレー咲きで、黒味を帯びた赤い色が特徴。

ヌーベルバーグ
□咲き方:波状弁咲き
□色:赤
□香り:微香
フリルが入る丸い花弁、花持ちがとてもよい品種。

 

シーアネモネ(左側より)
□咲き方:変わり咲き(スプレー咲き)
□色:ピンク
□香り:ティー 微香
ジャパンフラワーセレクション2018-2019 受賞品種。
大きくウェーブしたユニークな花弁がイソギンチャクを思わせるということで、シーアネモネ(イソギンチャク= Sea Anemone)と名付けられました。

リパルティ―ル
□咲き方:クォーターロゼット咲き
□色:紫
□香り:強香

クリスタルドレス+
□咲き方:剣弁高芯咲き
□色:ベージュ~ピンク
□香り:ティー 中香

エクストリーム
□咲き方:剣弁高芯咲き
□色:ベージュ
□香り:微香
季節によって色がピンクベージュや紫がかったベージュといった、複雑な色の変化があるバラ。とても花もちのよい品種です。


今回ご紹介した花の形

さまざまな植物の中で、特にバラにはたくさんの専門用語が存在します。
花の形(咲き方)に関しても多数の用語や分類の仕方がありますが、今回はご紹介したバラに関する咲き方を説明いたします。

■ロゼット咲き
横から見ると平たく、外側から内側に向かって花弁が小さく、整然と並ぶように咲きます。芯がいくつかに割れるように咲くものは「クォーター・ロゼット咲き」と呼びます。

■カップ咲き
横から見るとティーカップのように、外側の湾曲した花弁が中の花弁を包みこむように咲く咲き方。

■剣弁高芯咲き(けんべんこうしんざき)
剣弁とは花弁の先が尖り、反り返るようになることで、高芯とは花の中心部が高くなるように咲くことを指します。
花弁の先の尖り方がやや緩やかなものは「半剣弁高芯咲き」と呼ばれます。

■丸弁咲き(まるべんざき)
花弁の縁が反り返らず、丸い花弁をしているものです。

■波状弁咲き(なみじょうべんざき/はじょうべんざき)
花弁がフリルのように波打つ咲き方です。

香りの強度について

バラの香りの強さは「強香」「中香」「微香」の3段階で表されることが多く、香りの全くないバラは無いといわれています。

■強香:周辺に強い香りを漂わせる。
■中香:顔を近づけると香りを感じる。
■微香:顔を近づけると、人によっては香りを感じる場合がある程度。全く感じない人もいる。